カオスの商人/ジル・チャーチル

カオスの商人 (創元推理文庫)

カオスの商人 (創元推理文庫)

もうすぐクリスマス!ジェーンはあわてふためいていた。長男マイクも帰省するし、恋人メルの母親もやってくるのに、聖歌の集いやクッキー交換パーティの準備が、どんどん時間を奪っていくのだ。とどめに、聖歌の集い当日、押しかけてきた嫌われ者のニュースレポーターが、隣家の屋根から落ちて死んでしまったからもう大変!主婦探偵がトラブル続きの休暇を過ごすシリーズ第10弾。

アメリカ人でも主婦でもないし・・・と世界観に馴染めるか不安で二の足を踏んでいた私を、一気に「アメリカって素敵!」「風習なんて後からついてくるさ!」「私もこんな主婦になりたい!」と、今ではこの世界観が大好き!ってな感じで、私をコージー・ミステリーに引き込んだ作品が、この主婦探偵ジェーンシリーズです。
ちなみに未だにアメリカの風習はよく分かりませんが、その分からなさも「へぇ〜」って感じで楽しんでます(^^)

ちなみにコージー・ミステリーとは

「ハードボイルドのニヒルでクールなイメージに対し、「地域社会が親密である」「居心地が良い」といった意味を持つ「コージー(cozy)」を使用し、日常的な場面でのミステリーであることを示す。」

ですって。私もウィキで初めて知った(笑)

まさに今回の巻は<クリスマス>!!地域密着事件ですよ。
毎回不自然なほど近所で(特にジェーンの家の近くで・・・)殺人事件が起こりますが、そこは気にしちゃダメダメ。


出てくる料理は、見たことも聞いたこともないんだけど・・・毎回毎回想像だけでよだれがたれそう!!
いつかジェーンのツナのキャセロールが食べてみたい(笑)
そしてお隣の大親シェリィとジェーンの小気味の良い会話。
そしてこの二人が、実に美味しそうにコーヒーを飲むんだー。
私もコーヒーが飲みたくなる!!



皆さんご存知の通り(?)、前訳者浅羽莢子さんが急逝されて、新谷寿美香さんに変わられましたが、面白さは変わらず!!でした。
ただあとがきを読むと、新谷さんの緊張感というかプレッシャーなるものがヒシヒシと感じられ、なんでだかあとがきでジーンときちゃいました(笑)
そういえば私が好きな作品は浅羽さんが訳していのばかりだったんだなぁ・・・と亡くなられてから偉大さに気づき、訳者が亡くなるということは、作者が亡くなるぐらいの大きな痛手になるのだと実感しました。



改めて作者はもちろん、訳者さんにも「ありがとう」と言いたくなる1冊でした。